
インターネット展覧会 <art on a wire>
「ネット・アート」と呼ばれるジャンルは、インターネットの一般化に伴って生まれた表現形式です。それはおもに、インターネットおよびブラウザという技術を基盤とした作品、および作品を通じた活動によって、インターネットをとりまく環境(ネットワークやソフトウェア)の機能や意味を問うような性質を持つ作品を指しています。インターネット環境自体が、これらの作品の素材であり、また日々進化する技術とそこに内在する特性において表現の可能性を見出そうとするものが「ネット・アート」であるといえるでしょう。(おなじように、メディア技術を基盤として発展した、メディア・オリエンテッドな表現形式として、ラジオ・アート、メール・アート、ヴィデオ・アートなどがあります。)
その大きな特徴は、作品(と呼ばれるものも、呼ばれ得ないようなものも含め)がネット上に偏在しているということで、それは基本的に、いわゆる展覧会のような形で、固定された場所に集められて展示されることを前提にしたものではないということでしょう。ネットワークが作品の実装される空間であり、たとえばネット・アクティヴィズムなど、展覧会のようなものとは異なるオルタナティヴ(アンダーグラウンド、匿名性など)な性質を持ったものと理解されています。
しかし、一方ではインターネットの個人利用が拡大するにつれて、それはより一般的な個人の表現メディアになっています。個人メディアとしてのインターネットの隆盛は、現在のブログなどに見られるように、なにか個人の表現欲のようなものに根ざした、とはいえ何か明確な目的があるといったわけでもないような、一種独特のヴォキャブラリー(その中に所謂アートを凌駕するような表現を見つけることもできるでしょう)を持っていることもたしかです。アーティストが(もちろんアーティストでなくても)、作品をネットで発表するということ自体も、表現者にとって手法のひとつとしてあり、「ネット・アート」というジャンルが画定する条件に必ずしも従ったものというわけではない、ネットやコンピュータによって実現されて成立する、ネット・スペシフィックなものであるということを基盤にしたものとなっています。
「インターネット展覧会」という、この美術館ホームページに開設されたウェブサイトは、(これまでにもネットを美術館に見立てるという試みも行なわれてきましたが)いわばもうひとつの展示室であり、ネット空間において物理的な制約を受けることなく拡張可能なものということになるでしょう。
畠中実
(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]学芸員 /
art on a wire 企画・アーティスト選定)
web制作 / 鈴木英倫子








